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84. 雨の足あと [日々雑感『本日もまた混沌と』]

(以前より愛読させて戴いている或る御方のブログに “傘”についての考察がありました。ワタシ、触発されました。)

傘といえば、思い出したのは学生時代の頃のことです。
年月を越えてそれなりに皺も刻まれ、きっとその辺りを「思い出したい」のかも知れません。


府中の多摩川沿いにある高校に通う頃、カップルは帰り道に通称 "けもの道" を通るのでした。
けもの道 ー 今思い出しても笑えるそのネーミング!
通常の通学路と異なり、途中に神社や林が点在し何処となく薄暗かったり、土が露出した部分も多い道でした。
先輩から後輩へ自然と受け継がれるその"道行き"?は、それは伝統とも云え。
何故か学校からも騒ぎ立てられることもなく、静かに日々流れてゆく光景だったのです。

彼女、彼氏が出来た者たちが二人並んでゆっくりと歩いてゆきます。
カップル同士が誘い合わせることもなく、互いが或る程度の間隔をもってその道を帰るのでした。
駅までのおよそ20~30分の、ゆるやかな登り坂の薄暗い道。
雨の日は特に暗く...
川も近かったし、田畑の用水路もそこかしこを流れていたので、時には霧に煙る "けもの道" だったのでした。

今、目を閉じれば、その道すがらの相合い傘を思い出したりします。
「もっと**君が濡れない様にさしなよー」
「あ、俺は平気だよ。」
なんて会話してたのかな...
「もっと真面目に授業出なよ〜。単位平気なの?」
「そうだね...」
なんて会話もあった筈です。
カップルそれぞれが "二人だけの世界" の歩を進めながら、きっと女子はこの人と付き合い続けてゆくべきか冷静に前も視ていたことかと思います。
そんな時にきっと男子は、片側が濡れる冷たさをもいとわず、一所懸命に彼女が濡れない様に無理してたのでしょう。
男なんてそんな馬鹿なもんです。


   *


以降、20代にデスクワークを4年勤めた時期以外、僕は傘というものを持った経験があまりありません。
元々東京の外れの田舎育ちで、よく夕立の中をびしょぬれで遊んでいた子供でしたし、
趣味も釣りですから、雨の日は雨具着用での釣りに良い結果が出たり。
20代後半からは転職するも、ずっと肉体労働の範囲でしたから、雨の日は雨具着て "追い込み" なんてザラで。
そして今は林業に従事しています。つまり現代の樵の端くれなんですね。
山の天気は変動が激しいので、日々リュックには雨具が入っている訳でして。

街の雨と違って、自然の中で多少濡れるのは気持ちがいい時もあるもんです。
とかく体力は奪われますが、けむる雨の中の森の妖気漂う風景や、天からたゆまなく落ちてくる雨つぶをふと見上げる時、
.....自分も生き物のひとつなだけであり、この世界にとっては小さな存在で、されど今の目の前の選択(たとえばコノ木を切るか切らないかーとか、アノ人にどう応えるか応えないか等...)はそれなりにとっても大きなことで.....
とか何とか、色んなことを考えさせられたり。


     *


人生の半分は越えた今、残りの時間に傘を苦なくさす道行きがあるのだろうか...と、ふと思ってみます。
わかりません。今は何も見えません。
いいえ、今までも何も視えてはいなかったのかも知れません。


あなたの傘の下には何が見えるでしょうかー
繰り返す怠惰な日々でしょうか?
思わぬ隕石衝突ぐらいの出逢いでしょうか?
いえいえ。そんな両極端の間こそが、寄せては返す波のような "日常" というものですよね。
そんな日常に、時々存在するRAINY DAY。
他でもない、たしかにあなた自身が歩いている道の上に降る雨。
さす傘の下にはいつだって、 "雨の足跡" があったのではないでしょうか...

雨の日がありました。
これからもあります。
されどあがらぬ雨はなく、いつしかその足跡は消えてしまうものです。
土中に染み込んでしまったり、下水管に流れてしまったり。
はたまた蒸発して天に昇ってしまったり。
そこに、今ではめっきり姿を消してしまった "水たまり" が在ったとしても、
もう僕らは何かと理由をつけて、靴のまま(あるいは裸足になって)飛び込むことはためらってしまう...

      *

「忘れたくないことや、大切だと思うことは、何度でも思い出して日々の一部にするしかない」
これは好きな漫画『蟲師』で主人公のギンコが言う台詞の一部です。


雨を毛嫌いする必要はないのです。
草も木も僕らもみんな、濡れながらここまで歩いて来たのですから。
濡れながら、ここからも歩いてゆけばいいじゃないですか...





   (只今の脳内ミュージック/WORLD'S END GIRLFRIEND "水の線路 / 生命は")

犬と人/スナップショット 2011-01-11 22-13-29.jpg





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